
銀製小物入れ
銀製小物入れをお譲りいただきました。
この銀製小物入れは、蓋部分に彫金による海の生き物をモチーフとした立体的な装飾が施されています。
最も印象的なのは、蓋の中央に配された大きな蟹の造形です。甲羅や鋏、脚部の細部まで丁寧に彫り込まれ、また側面には蟹や海藻などが配置され、躍動感のある表現となっています。
この彫刻は、大きく盛り上がった立体的な装飾が特徴です。銀の地金から直接彫り出すこの技法は、高度な技術と長時間の作業を要するため、当時の職人の卓越した技量を物語っています。
側面の籠目文様も注目すべき要素で、規則正しく刻まれた線彫りが美しい幾何学模様を形成しています。海洋モチーフの選択も興味深く、特に蟹は「横歩きでも前進する」縁起物として、商家などで好まれたモチーフでもあります。
全体的に保存状態は良好で、細かな装飾部分の摩耗も少なく、制作当時の美しさを維持しています。経年劣化による銀特有の黒ずみも程よく趣を添えています。
このような立体装飾を施した銀製小物入れは、制作に高い技術と多大な時間を要するため、当時でも高級品でした。現存する数も限られており、古美術市場では希少価値の高い作品として評価されています。
この品は、明治期の優れた金工技術と美意識を現代に伝える貴重な工芸品です。実用性と装飾性を兼ね備えた小物入れとして制作されながら、美術品としての価値も十分に備えています。
もし、お手元にこのような金工作品をお持ちで買取をお考えでしたら、ぜひ古美術永澤にご相談ください。目利きが丁寧に拝見します。LINEでのオンライン査定も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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