銀彫刻ケース

先日、お客様より、珍しいお品を買取させていただきました。一見するとシンプルな木製の箱ですが、天板に施された見事な銀の彫刻に目を奪われます。

まず目を引くのは、丸い枠の中に表現された竹のモチーフです。すっと伸びる笹の葉と、節が力強く描かれた竹の幹。銀に彫刻されており、光の加減で鈍く光る様子が美しく映えています。

モチーフの竹は古くから長寿や生命力の象徴として、日本で尊ばれてきました。まっすぐに伸びる姿から、成長や出世の願いも込められています。

木製のケース部分は、長い年月を経て深みを増した味わい深い色合いをしています。ところどころに見られる小さな傷や色の変化が、この品が大切にされ、使われてきた歴史を物語っているようです。

このケースの用途は、煙草入れではないかと推測されます。

蓋がスライド式になっていること、そして内側が比較的シンプルであることから、煙草と刻み煙草を入れるためのケースとして作られた可能性が考えられます。

古い品には、一つひとつに持ち主の想いと、時代を超えて受け継がれてきた歴史が宿っています。その価値を正しく見出し、次世代へと繋いでいくことが、私たちの使命だと感じています。

ご自宅に眠っている古い品物で、価値があるかどうかわからない、というものがございましたら、ぜひ一度、古美術永澤ご相談ください。お客様の「物語」とともに、丁寧に査定させていただきます。

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