
今尾景年の双幅対の掛け軸
先日、東京都のお客様より、明治から大正にかけて活躍した日本画家、今尾景年(いまおけいねん)の「月と太陽」双幅対の掛け軸をお譲りいただきました。澄み切った夜空に浮かぶ満月と、燃えるような情熱を放つ朝日が対をなすこの作品は、景年ならではの自然描写と色彩感覚が凝縮された逸品です。
今回、買取させていただいた作品は、まさに景年の画業を象徴するような作品です。左幅の月は、静謐な銀色の光を放ち、見る者に安らぎと神秘を感じさせます。一方、右幅の太陽は、昇りゆく力強い赤色で描かれ、生命力と希望に満ちたエネルギーを放っています。対照的ながらも互いを引き立て合う構図は、景年が自然の営みの中に見ていた、壮大で普遍的な美意識が表現されているようです。
景年は、四条派の流れを汲みながらも、西洋画の写実的な要素を取り入れ、独自の画風を確立しました。花鳥画を得意とし、「景年花鳥画譜」は今なお多くの画家に影響を与え続けています。しかし、彼の描く山水画や風景画もまた、その洗練された筆致と情感豊かな表現で高く評価されています。今回の「月と太陽」も、まさに景年の風景画における傑作の一つと言えるでしょう。
お客様のお話によると、この作品は代々大切にされてきたもので、ご自宅の床の間に飾られ、ご家族皆様で親しまれてきたとのことでした。しかし、ライフスタイルの変化や保管場所の問題から、この度手放すことを決断されたそうです。お客様は「せっかくなら、作品の価値をきちんと理解してくれる方に譲りたい」という強いご希望をお持ちで、弊社の買取実績や専門性を評価いただき、ご連絡くださいました。
私ども古美術永澤は、お客様が大切にされてきた美術品を、単なる品物としてではなく、その背景にある物語や想いも大切にしながら査定させていただいております。今回も、作品の状態はもちろんのこと、景年の画風や美術市場における評価などをもとに適正な査定を行い、お客様にご納得いただける価格で買取させていただきました。
古美術品の買取は、単に金銭的な取引に留まらず、日本の豊かな文化財を次世代へ継承していく大切な役割を担っていると信じております。
もし、ご自宅に眠る美術品や骨董品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。専門の査定士が丁寧に拝見し、お客様にご満足いただけるよう、精一杯努めさせていただきます。
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