
田中頼璋(たなか らいしょう) 観瀑図(かんばくず) 掛け軸
先日、弊社では、日本の美意識が息づく素晴らしい掛け軸をお客様よりお譲りいただきました。それは、近代日本画壇の重鎮、田中頼璋(たなからいしょう)による「観瀑図(かんばくず)」です。
この作品は、その名の通り、壮大な滝を前にして立ち尽くす人物を描いた、まさに頼璋の真骨頂ともいえる一幅です。画面上部から流れ落ちる滝は迫力に満ちており、水しぶきが舞い、清涼な空気が伝わってくるかのようです。そして、その滝を見上げる人物は、豊かな自然の中で、どこか精神的な深淵を覗き込んでいるかのようにも見えます。
田中頼璋は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家であり、特に山水画と瀑布図においてその才能をいかんなく発揮しました。四条円山派の写実的な表現を踏まえつつも、中国の文人趣味を融合させた作風で、日本画に新たな境地を切り開いた画家として評価されています。
本作品の繊細な筆致で描かれた木々の緑、岩肌の質感、そして何よりも水の表現には、画伯の卓越した技術と観察眼が光ります。色彩もまた、全体的に落ち着いた色調でありながらも、水墨画のような濃淡の妙と、日本画ならではの豊かな色彩が織りなすハーモニーが、見る者を魅了します。
「観瀑図」は、滝という自然の猛々しさと、それに対峙する人間の静かな佇まいが対比され、見る者に深い感動を与えます。作品の状態も良好で、長年にわたり大切にされてきたことが伺えました。
私ども古美術永澤では、このような美術的価値の高い作品を適正に評価し、次世代へと繋いでいくことを使命としております。
ご自宅に眠る古美術品や掛け軸はございませんか。今回の作品のように、思わぬ価値を持つお品があるかもしれません。専門の査定士が一点一点丁寧に拝見し、適正な価格で買取させていただきますので、お気軽にご相談ください。ご連絡を心よりお待ちしております。
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