
今尾景年(いまお けいねん)作の 掛け軸
先日、お客様より大変貴重な作品をお譲りいただきました。明治から大正にかけて活躍した日本画家、今尾景年(いまお けいねん)作の掛け軸です。
今尾景年は、明治・大正期における京都画壇の中心的人物として知られ、円山・四条派の伝統を受け継ぎながらも、写実的で繊細な花鳥画を得意としました。その緻密な筆致と情感豊かな表現は、国内外で高く評価されています。
今回買取させていただいた作品は、まさに景年の真骨頂が発揮された作品と言えます。まず目を引くのは、画面上部に描かれた満月です。ぼんやりと光を放つ月は、夜の静寂を物語り、作品全体に幻想的な雰囲気を醸し出しています。その下に広がるのは、秋の七草の一つである葛(くず)の葉。瑞々しい緑の葉と、紫色の可憐な花が丁寧に描き込まれており、自然の生命力を感じさせます。
そして、この作品の主役である三羽の鶉(うずら)。葛の葉陰に身を寄せ合うように集まり、首を傾げたり、物思いに耽るような表情を見せたりしています。羽毛の一本一本まで細やかに表現されたその姿は、今にも動き出しそうです。景年は鶉の生態を熟知していたようで、その愛らしい仕草や、どこか物悲しげな雰囲気を巧みに捉えています。背景の秋草や小さな桔梗も、鶉の存在感を際立たせる良いアクセントとなっています。
古美術永澤では、今尾景年をはじめとする近代日本画の作品を積極的に買取しております。長年にわたる経験と専門知識を持つ査定士が、一点一点丁寧に拝見し、その真価を正しく評価させていただきます。他社で査定に納得できなかった作品でも、ぜひ一度ご相談ください。お客様の大切な美術品を、次へと繋ぐお手伝いをさせていただければ幸いです。
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