
椿椿山による花鳥画掛軸です。椿椿山(1801–1854)は、江戸後期を代表する文人画家で、渡辺崋山の高弟として知られます。師から受け継いだ精緻な筆致と、詩情豊かな感性をもって、格調高い山水・花鳥画を数多く残しました。
本作は、白牡丹を中心に、赤い花や水仙を配し、さらに枝にとまる鳥を描いた大幅の作品です。構図は左右に広がりながらも樹木の幹が画面を力強く縦に貫き、文人画らしい清雅さと装飾的華やかさを兼ね備えています。牡丹は富貴の象徴、水仙は清廉さを表し、鳥の存在は自然の生気を添えるものであり、吉祥性の高い画題といえます。
筆線は細密でありながらも伸びやかで、彩色も淡雅かつ豊麗に施されており、椿椿山の花鳥画の典型的作例と位置づけられます。
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