
川合玉堂の掛け軸
この度、近代日本画壇を代表する巨匠、川合玉堂の掛け軸を買取させていただきました。
墨を主体に描かれた川合玉堂の日本画で、静謐な山村の風景が広がる作品です。中央には力強い筆致で描かれた大きな樹木が配され、その背後には霞む山並みが連なっています。右には素朴な農家の屋根が見え、日本の原風景を思わせる情景が展開されています。空には月が描かれ、夕暮れや明け方の静かな時間を感じさせる落ち着いた雰囲気です。左下に玉堂の落款と印章が確認できます。
川合玉堂は墨の濃淡を巧みに使い分けることで知られており、本作でもその技法が存分に発揮されています。特に樹木の表現は、幹や枝を濃墨で力強く描き、葉の部分には滲みや筆の運びを活かして柔らかさを表現。遠景の山々は淡墨でぼかすように描かれ、遠近法による奥行きが見事に表現されています。
川合玉堂は明治6年(1873年)、愛知県葉栗郡に生まれ、幼少期から絵の才能を発揮しました。京都で円山派や四条派の日本画を学んだ後、東京に移り橋本雅邦に師事して狩野派の技法も習得。大正6年には帝室技芸員に任命され、昭和15年には文化勲章を受章するなど、近代日本画壇において確固たる地位を築きました。玉堂の作品は、日本の自然と人々の営みを温かな眼差しで捉えたものが多く、見る者に安らぎをもたらします。
私ども古美術永澤では今後も日本画や掛け軸の名品を適正な価格で買取させていただきます。川合玉堂の掛け軸や日本画の買取をお考えの際は、ぜひ古美術永澤へご相談ください。
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