
黒田稲皐(くろだ とうこう)による「群鯉図」掛け軸
江戸時代後期の鳥取藩士で絵師、黒田稲皐(くろだ とうこう、1787-1846年)による見事な「群鯉図」の掛け軸をお譲りいただきました。
黒田稲皐は、幼少より画を好み、藩の御用絵師であった土方稲嶺に写生画を学びました。武芸にも秀でた藩士でありながら、画業に情熱を注ぎ、特に「鯉の稲皐」と称されるほど鯉の絵に優れていました。その逸話として、自宅の池に鯉を放ち、その生態を飽くことなく観察し写生に励んだことが伝えられています。
本作品は、その真骨頂とも言える群鯉図であり、大小様々な鯉が水中で群れ泳ぐ姿を、墨の濃淡とグラデーションを巧みに使い分け、写実的に捉えています。鱗の一枚一枚、水中の光の揺らぎまで感じさせる生動感は、長年の観察と鍛錬によって到達し得る境地です。
江戸時代、鯉は立身出世や生命力の象徴として好まれました。稲皐の作品は、そうした時代背景の中で、単なる吉祥画に留まらない、画家の類まれな観察眼と技量が結実した芸術品として高い評価を得ています。
古美術永澤では、日本画、古美術品の査定買取を承っております。経験豊富な査定士が、歴史的・芸術的価値を正しく見極め、適正な価格でご案内させていただきます。
関連買取実績
-
2025.10.23
-
2025.10.23
-
2025.10.23
-
2025.10.21