
銀彫金 帯留
この度、お客様より、貴重な銀彫金の帯留をお譲りいただきました。この帯留は、熟練の職人の手によって緻密に彫刻された、見事な工芸品です。
まず目を引くのは、そのモチーフです。力強く咲き誇る花々と、その傍らに添えられた金色の葉。花の深い色合いは、銀を燻して表現されており、光の加減によって微妙に変化する表情が、作品に奥行きを与えています。花びら一枚一枚に施された繊細な彫り込みは、本物の花びらを丁寧に再現しています。
そして、その傍らで輝きを放つ金色の葉。銀の持つ落ち着いた色合いと、金の持つ華やかな輝きが絶妙なコントラストを生み出し、作品全体に生命感と格調を与えています。この金と銀の組み合わせは、古来より日本の工芸品に多く見られるもので、その調和の美しさは、日本人の美意識を象徴するかのようです。
このような帯留は、単なる装身具ではなく、身につける人の心を豊かにする「用の美」を体現した美術品と言えるでしょう。今回は作者銘を確認することはできませんでしたが、その精巧な技術と品格から、相当な腕を持った職人の手によるものであることは間違いありません。
お客様は、ご家族から譲り受けたこの帯留を、大切に保管されていたとのこと。お話を伺う中で、この帯留に込められたご家族の思い出や、代々受け継がれてきた温かい想いを感じることができました。私ども古美術永澤では、その想いを受け止め、次の世代へと橋渡しをさせていただくことが、我々の使命であると考えております。
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