
李王家(りおうけ)の銀製花入
今回は、先日、お客様よりお譲りいただいた大変貴重な品、「李王家(りおうけ)」の銀製花入についてご紹介いたします。
李王家とは、旧大韓帝国(朝鮮王朝)の皇帝一族を指します。1910年の日韓併合後も、その皇族としての地位は維持され、日本の皇族に準じた待遇を受けていました。この時期、日本の皇族や華族との婚姻も行われ、文化的な交流も深まっていきました。この花入も、そうした時代背景の中で制作されたものと考えられます。
李王家の美術品は、朝鮮王朝の伝統的な美意識と、日本の工芸技術が融合した独特の様式が特徴です。特に銀製品は、日本の皇室御用達の工房や、当時の一流の職人によって手掛けられることが多く、高度な技術と格式が感じられます。
今回お預かりした花入は、まさにその時代を象徴する逸品です。まず目を引くのは、胴回りに施されたスモモの花と唐草文様の繊細な彫金です。李王家の紋章である李花(スモモの花)が、ふくよかで立体感のある彫金によって表現されています。また、全体を覆う銀の落ち着いた光沢と、使い込まれたことによる深みのある黒ずみ(パティーナ)が、この花入が長い歴史を歩んできたことを物語っています。
この花入は、単なる美しい銀器ではなく、激動の時代を生きた李王家の歴史と、それを支えた職人たちの魂が宿る貴重な文化遺産です。大切にお預かりし、次の世代へと受け継ぐお手伝いができることを、心から嬉しく思います。
古美術品には、一つひとつに物語があります。ご自宅に眠っている古い品がございましたら、ぜひ古美術永澤にお気軽にご相談ください。知識豊富な査定士が、その品物の秘められた価値と歴史を丁寧に紐解き、心を込めて拝見させていただきます。
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