
兎図銀製巻煙草入
秋の気配を感じさせるススキの合間から、愛らしい兎が姿を覗かせる、彫刻が見事な銀製巻煙草入をお譲りいただきました。本作は、明治期の工芸美の結晶とも呼べる一品です。
銀の地肌に施された高肉彫りや象嵌(ぞうがん)の技術は極めて細密で、兎のふっくらとした毛並み一筋一筋や、風にそよぐススキのしなやかさが写実的に表現されています。
特に兎の描写は、瑞々しく生命力に満ちており、当時の彫金師が注いだ情熱と卓越した技量がうかがえます。
こうした彫金作品の背景には、明治維新後の廃刀令によって職を辞した刀装具職人たちが、その技術を美術工芸品へと転換させた歴史があります。海外の万国博覧会でも高く評価された日本の「金工」は、外貨獲得の重要な輸出品となり、本作のような煙草入もまた、国内外の好事家や上流階級の嗜み品として愛蔵されてきました。
古美術永澤では、こうした明治金工をはじめとする古美術品の査定・買取を承っております。ご自宅に眠っている古い銀製品や彫金細工がございましたら、ぜひ、古美術永澤へお気軽にご相談ください。
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