蒔絵 香合

蒔絵(まきえ)の香合(こうごう)をお譲りいただきました。

茶道具の中でも、とりわけ繊細な美を宿すもののひとつが香合です。香合は、香木や練香を入れる蓋付きの小さな容器で、主に茶席で用いられます。中でも蒔絵で装飾された香合は、用の美とともに繊細な工芸技術を示す逸品として高い評価を受けています。

蒔絵とは、漆を使って文様を描き、そこに金や銀の粉を蒔いて定着させる日本独自の漆芸技法です。平安時代に始まり、桃山時代から江戸時代にかけて技術が洗練され、香合にも多彩な意匠が施されるようになりました。たとえば、季節の草花、和歌に詠まれた風景、吉祥文様などが蒔絵で表現され、茶席の趣や亭主の心を映す道具として用いられてきました。

香合は手のひらに収まるほどの小さなものでありながら、その中には匠の技が凝縮されています。蒔絵の技法だけでなく、用いられる漆、金粉、銀粉、木地などの素材も時代や工房によって異なります。古いものでは室町時代や桃山時代の作も現存し、歴史的価値がとても高いものもあります。

骨董市場では、蒔絵の香合は作家や時代、状態によって評価が大きく異なります。たとえば、江戸時代の名工・柴田是真や、多くの漆芸品が海外へ広まった明治期の蒔絵師の作品はコレクターの間で高く評価され、保存状態の良いものは高額で取引されることもあります。また、名品でなくとも、意匠が優れ、保存状態の良い香合は国内外の茶道家に根強い人気があります。

もしお手元に蒔絵の香合が残されていて、買取をご検討の場合は、骨董品や茶道具に精通した専門の査定士がいる古美術永澤へぜひご相談ください。

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