
菊花紋入りの文庫
菊花紋入りの文庫をお譲りいただきました。
漆黒に輝く文庫の表面に、金色に煌めく16弁の菊花紋。シンプルで美しい対比による静謐な美は、日本の伝統工芸ならではの逸品です。黒漆塗りの上に施された金蒔絵の菊紋は、格式の高さが漂います。
菊紋は日本の皇室の紋章として広く知られていますが、その歴史は後鳥羽天皇が在位した平安時代末期にまで遡ります。16弁の菊花紋は天皇家の御紋であり、明治時代に皇室や一部の公家のみが使用を許されたこの紋様が施された工芸品は、歴史的・文化的価値が非常に高いとされています。
この文庫に見られる蒔絵技法は、漆工芸の高度な技術を要するものです。漆を塗り重ねた上に金粉を蒔き、さらに研ぎ出して仕上げる繊細な工程は、何世代にもわたって受け継がれてきた日本の伝統技術です。線の一本一本に職人の高い技巧が感じられ、手仕事ならではの温かみと厳格さが共存しています。
元来、重要な書類や小物を収納するための実用品であった文庫ですが、このような美術的価値の高いものは、コレクターに人気の品となりました。現代においては、美術品としての評価が高まり、古美術市場で高い関心を集めています。
このような歴史的背景を持つ菊花紋入り文庫の買取評価においては、製造年代、保存状態、使用されている材料の質、蒔絵の精緻さなどが重要な判断基準となります。特に皇室関連の品は、その来歴が明確であればさらに価値が高まります。
良質な漆器は適切に保存されていれば、何世紀にもわたってその輝きを失わないことも、日本の伝統工芸品としての魅力のひとつです。もし、買取をご検討でしたら、ぜひ漆芸品の目利きのいる古美術永澤へご相談ください。
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