煙管と煙草入

煙管(きせる)と煙草入をお譲りいただきました。

この度お譲りいただいた品は、非常に状態の良い逸品です。煙草入れは江戸時代の庶民文化を象徴する装身具として、当時の粋人たちに愛用されました。

煙草入の素材は、茶褐色の革で、表面全体に細かな型押し模様が施されています。この技法は印伝と呼ばれる甲州の伝統工芸で、鹿革に漆で文様を描く技術が用いられています。また、施された蒔絵装飾が見事で、当時の粋人の美意識を物語っています。

注目すべきは、革表面に配された金色の装飾金具です。この小さな飾り金具は「座金」と呼ばれ、実用性と装飾性を兼ね備えています。経年による適度な変色が、かえって品格のある風合いを醸し出しています。

煙草入れにに収める煙管(きせる)は、黒漆塗りの雁首と四分一の吸口に金蒔絵が施された上品な仕上がりです。煙管の長さや太さのバランスも絶妙で、職人の高い技術力をが現れています。江戸時代の煙管は単なる喫煙具ではなく、その人の美意識や社会的地位を表す重要なアイテムでした。

近年、江戸時代の生活用品への関心が高まっており、特に完品で保存状態の良い煙草入れは希少性が高く評価されています。本品のように煙管と煙草入れが揃った状態の出物は珍しく、コレクターの注目を集めています。

革の柔軟性が保たれ、金具の欠損もないこの煙草入れは、当時の職人技術の高さを現代に伝える貴重な品です。

このような品格ある古美術品との出会いは、私たち買取専門店にとっても光栄なことです。古美術永澤では、大切に保管されてきたお品物を、次の世代へと橋渡しする役割を担わせていただきます。買取をお考えの方は、専門の目利きのいる古美術永澤へお気軽にご相談ください。

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