
黒蒔絵 煙管入(くろまきえ きせるいれ)
先日、お客様より、見事な「黒蒔絵煙管入(くろまきえきせるいれ)」をお譲りいただきました。
漆黒の地に細やかな蒔絵が施されたその姿は、品格のある美しさが漂います。煙管入とは、煙管(きせる)を持ち運ぶ際に用いる筒状の道具ですが、単なる実用品にとどまらず、当時の粋人たちのこだわりや美意識が凝縮された工芸品として発展しました。
今回お預かりした黒蒔絵煙管入は、その蒔絵の技法において、卓越した職人技が光る逸品です。漆で描かれた文様は、光の角度によって様々な表情を見せ、見る者を飽きさせません。蒔絵の技法は、漆器の表面に漆で絵や文様を描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔きつけて固める、日本独自の伝統工芸です。特に黒漆を基調とした黒蒔絵は、蒔絵の華やかさを引き立てつつも、静謐な趣を醸し出すため、通好みの意匠として古くから珍重されてきました。
この煙管入に描かれた文様もまた、当時の文化や風俗を今に伝える貴重な資料です。暗闇にほのかな光を灯す蛍が丁寧に描かれており、このような物語性のある構成は、持ち主の教養と品格をさりげなく表現していたものと思われます。
経年による擦れや使用感はあるものの、保存状態は良好でした。私どもの査定士が丁寧に拝見し、その歴史的背景、技法、保存状態などを総合的に判断し、お客様にご納得いただける査定額で買取させていただきました。
私どもは、このような歴史的価値のある古美術品を、正当に評価し、次の世代へと橋渡しすることを使命と考えております。
もしご自宅に眠る古美術品がございましたら、ぜひ一度、私ども古美術永澤にご相談ください。専門知識を持つ査定士が、お客様の大切な品々の真の価値を見出し、心を込めて査定させていただきます。出張買取も行なっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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