
蒔絵の煙管(きせる)
このたび、お客様から素晴らしい蒔絵の煙管(きせる)二本を買取いたしました。本品は、黒漆地に金で繊細な文様が描かれた見事な作品です。
煙管は、江戸時代に広まった喫煙具で、雁首(がんくび)、羅宇(らう)、吸口(すいくち)の三つの部分から成ります。特に雁首と吸口の間の羅宇と呼ばれる部分は、装飾の施しがいのある部分として、様々な素材や技法が用いられました。今回買取した煙管は、その部分に蒔絵が施されています。
蒔絵とは、漆で文様を描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔きつけて定着させる日本独自の漆工芸です。一口に蒔絵といっても、その技法は多岐にわたります。
目を引くのは、羅宇全体に隙間なく描かれた植物をモチーフにした文様です。一つ一つの文様は細かく、熟練した職人の緻密な筆遣いがうかがえます。特に、金で描かれた葉の表現や、文様を縁取る金の線は、肉眼でじっくりと見なければ見過ごしてしまうほどの繊細さです。
煙管は日常的に使用される道具であるため、美術品としての価値だけでなく、実用性も兼ね備えていました。しかし、今回のお品物は、その精緻な装飾から、単なる喫煙具としてではなく、身分や粋を示すための「装身具」としての役割を担っていたことが想像されます。
保存状態も良好で、漆の剥がれや蒔絵の傷みもほとんど見られません。二本一組で揃っていることも珍しく、作品としての価値をさらに高めています。
近年、日本の古美術に対する海外からの評価は高まっています。特に、日本の美意識を凝縮したような工芸品は、国際的なコレクターからも注目を集めています。今回の蒔絵煙管も、まさに日本の伝統美を体現する逸品と言えるでしょう。
古美術永澤では、今回の煙管のように、日本の伝統工芸品、特に蒔絵や根付、印籠といった精緻な美術品の買取に力を入れております。ご自宅に眠っている美術品がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。専門の査定士が、一点一点丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価させていただきます。
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