
堆朱 (ついしゅ) 盆
この度、お客様より、精緻な彫刻が施されたこの美しい堆朱(ついしゅ)盆をお譲りいただきました。
この堆朱盆は、一見してその技術の高さが伝わってきます。緻密に彫り込まれた文様は、風景画を描いており、楼閣、木々、そして湖面に浮かぶ船が、生き生きと表現されています。
堆朱とは、何層にも塗り重ねた漆に彫刻を施す技法で、その層の厚さによって彫刻の深みと立体感が生まれます。この盆の側面に見られる深い彫り込みから、その漆の層が非常に厚いことがわかります。これほどの深彫りは、相当な手間と熟練した技術を要するため、作られた当時の高い工芸水準を物語るものです。
堆朱は、中国の宋時代から発展したとされ、日本には鎌倉時代に伝来しました。日本の職人たちによって独自の発展を遂げ、繊細で華やかな作品が多く生み出されました。
この堆朱盆が、古美術品として高い評価を受ける理由は、その技術的な完成度と、作品から伝わる歴史の重みにあります。精巧な彫刻は、見る者の心を惹きつけ、当時の職人の息遣いを感じさせます。また、お盆として実際に使われるよりも、鑑賞用の美術品として大切にされてきたことが、その良好な保存状態から見て取れます。
現代では、これほどの精緻な堆朱作品を新たに製作するには、多大な時間と費用がかかります。そのため、古い時代に作られた堆朱作品は、美術品としての価値はもちろんのこと、貴重な工芸技術を伝える資料としても、重要視されています。
今回は、この堆朱盆を適正に評価し、お客様のご期待に応えられるよう、丁寧に査定させていただきました。古美術品は、単なる古いものではなく、その時代に生きた人々の美意識や技術が凝縮されたものです。私ども古美術永澤では、そうした物語を持つ品々を次世代へと繋ぐお手伝いをさせていただきたいと考えております。
ご自宅に眠っている漆芸作品や、その他価値が分からず手放すのをためらっている古美術品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤へご相談ください。専門の査定士が、一点一点丁寧に拝見し、その真価を適正に評価いたします。
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