
螺鈿装飾の黒漆盆
先日お客様より、美しい螺鈿装飾が施された黒漆の盆をお譲りいただきました。
この盆の特徴は、中央に配された優雅な鳳凰の文様です。翼を大きく広げた鳳凰が、まるで雲間を舞うような躍動感のある姿で表現されており、その周囲には雲文様が効果的に配置されています。さらに左下には花の文様も見られます。
螺鈿とは、アワビ、ハマグリ、シロチョウガイなどの貝殻の真珠層を薄く削り、それを漆器の表面に嵌め込んで装飾する技法です。この技法により、角度によって虹色に輝く幻想的な美しさが生まれます。この盆では、鳳凰の羽根の一枚一枚、雲文様の流れるような曲線、蝶の繊細な翅まで、すべて螺鈿で丁寧に表現されており、職人の高い技術力がうかがえます。黒漆地との対比により、螺鈿の輝きがより一層際立っており、見る者を魅了します。
鳳凰は中国古来より瑞鳥として珍重され、平安時代に日本に伝来して以来、工芸品の装飾モチーフとして愛され続けてきました。特に漆芸においては、その優美な姿が螺鈿装飾によって表現されることが多く、格調高い作品の代表的な図案です。
螺鈿装飾の漆器を査定する際のポイントをご紹介します。まず、螺鈿の質と輝きです。貝の種類や厚み、カットの精密さによって輝きの質が大きく異なるため、技術的な面を確認いたします。
次に、漆の状態です。漆の艶や色合い、ひび割れや剥がれの有無、全体的な保存状態を拝見します。また、文様の構成や配置のバランス、線描の美しさなど、デザイン面での完成度も大切です。
このような螺鈿装飾の漆器は、日本の伝統工芸の粋を集めた美術品として、国内外で高く評価されています。古美術永澤では、このような貴重な工芸品を適正に査定し、お客様にご満足いただける査定額で買取させていただいております。螺鈿や蒔絵装飾の漆芸作品をお持ちでしたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。
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