
金蒔絵の文箱
先日、お客様から大変素晴らしい蒔絵の箱をお譲りいただきました。黒漆に金で描かれた笹竹と雀、特に蓋に描かれた3羽の雀の表情が印象的な作品です。
本品は、日本の伝統工芸である漆芸、特に蒔絵の技法によって仕上げられています。蒔絵とは、漆で文様を描き、その乾かないうちに金や銀の粉を蒔きつけて定着させる技法です。平安時代にはすでに確立され、日本の美意識を象徴する工芸として発展してきました。桃山時代や江戸時代には、大名家や豪商の調度品としても用いられ、豪華さと精緻さで人々を魅了しました。
本品では、竹林の中を自由に飛び交う雀の様子が生き生きと描かれています。竹は風雪に耐えることから「不屈」や「長寿」を、雀は多産であることから「子孫繁栄」を象徴し、組み合わせることで家内安全や商売繁盛の願いも込められています。
特筆すべきは、竹の節や葉脈、雀の羽根に至るまで、写実的に表現された繊細な蒔絵技法です。熟練した職人の技術があってこそ成し得る表現であり、見る者を惹きつけます。
蒔絵作品の査定においては、以下をポイントに拝見します。
まず、保存状態です。漆の割れや剥がれ、変色の有無、金粉の剥落などを確認します。次に、制作年代や工房・作者の特定をいたします。そして、文様・意匠の美しさや希少性をふまえて、総合的に評価します。
古美術永澤では、お客様の大切な漆芸品や古美術品を一点一点丁寧に拝見し、その歴史や背景、秘められた価値まで見極めて査定いたします。ご自宅に眠る品物がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。査定士一同、心よりお待ちしております。
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