鼈甲 螺鈿印籠

精緻な装飾が施された鼈甲製（べっこうせい）の螺鈿（らでん）印籠を買取させていただきました。

今回お譲りいただいた印籠は、漆黒の鼈甲を地として、繊細な螺鈿細工が施された逸品です。螺鈿とは、アワビや夜光貝などの真珠層を薄く削り出し、漆器や木地の表面にはめ込む高度な技法です。この印籠では、夜空の満月のような白く淡い光を放つ菊文様が、熟練の職人によって一つ一つ丁寧に象嵌されており、漆黒の地と相まって、優美な景色を醸し出しています。

注目すべきは、付属する根付（ねつけ）にも同様の意匠が施されている点です。印籠を帯に留め付けるための根付は、独立した芸術品としても評価が高く、一貫した意匠とすることにより、美術的価値を高めています。

鼈甲細工は、古くからその稀少性と加工の難しさから、大変高価な工芸品として発展しました。

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