蒔絵碁笥

伝統の粋を凝らした豪華な蒔絵が目を引く碁笥（ごす）をお譲りいただきました。黄金色の梨地（なしじ）を背景に、悠然とそびえる山々や楼閣、枝ぶりの見事な松が立体的な高蒔絵によって描かれた逸品です。

蓋と身のそれぞれに施された意匠は、光の角度によって深みのある輝きを放ち、職人の卓越した技術と並々ならぬこだわりが随所に息づいています。セットされた蛤碁石と那智黒石の気品ある質感とも見事に調和しています。

囲碁は古来より文人墨客や上流階級に嗜まれてきた高尚な遊戯であり、その道具である碁具は、所有者の地位や教養を象徴する工芸品でした。

特に江戸時代以降、大名家や豪商の間では最高級の漆工芸を施した碁具を揃えることがステータスとされ、名工たちの手によって数多くの名品が生み出されました。本作に描かれた山水図も、そうした格調高い伝統文化の系譜を色濃く受け継いでいるものです。

古美術永澤では、こうした由緒ある漆芸品や、大切に受け継がれてきた古いお道具を次代へ繋ぐお手伝いをしております。もしご自宅に眠っている漆器や碁具などの古美術品がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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