蒔絵箱

見事な金蒔絵の小箱をお譲りいただきました。本作は、眩いばかりの金地を背景に、力強い岩肌や老松、そして清流に架かる橋と紅葉の情景が緻密に描かれた、極めて格調高い逸品です。

特に、高蒔絵の技法を駆使して立体的に表現された岩や樹木の質感は、作者の卓越した技量と美意識を感じさせます。水面の揺らぎや繊細な葉の一枚一枚にまで施された緻密な陰影は、見る角度によって多彩な表情を見せ、当時の最高峰の技術を今に伝えています。

蒔絵は日本独自の伝統技法ですが、特に橋と紅葉を組み合わせた意匠は、古来より和歌の情景としても好まれる日本独自の情緒を体現したものです。職人が途方もない時間をかけて漆を塗り重ね、金を蒔き、研ぎ出す工程を経て完成する蒔絵作品は、まさに日本の誇る芸術品です。

古美術永澤では、このような歴史的・芸術的価値のある古美術品を次世代へ繋ぐお手伝いをしております。経験豊富な査定士が、お客様が大切にされてきたお品物を丁寧に拝見いたします。ご自宅に眠っている古い漆器や蒔絵作品がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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