
七宝焼の花瓶
先日、お客様から素晴らしい七宝焼の花瓶を買取させていただきました。
お持ち込みいただいたのは、堂々とした佇まいの花瓶です。淡いアイボリーを基調とした釉薬の上に、可憐な植物と小鳥が緻密に描かれています。特に目を引くのは、絵画のような色彩の豊かさと奥行きのある表現です。
七宝焼は、金や銀、銅などの金属素地にガラス質の釉薬を施し、高温で焼き上げることで生まれる工芸品です。その歴史は古く、起源を辿れば古代エジプトにまで遡るとも言われています。日本には奈良時代に中国から伝来し、その後、独自の発展を遂げてきました。特に明治時代には、濤川惣助や並河靖之といった名工が活躍し、海外からも高い評価を受けました。
今回の花瓶は、まず、下地の釉薬に七宝焼ならではの艶やかな光沢があり、見る角度によって表情を変えます。その上に描かれた植物の葉は、一枚一枚が丁寧にぼかしやグラデーションで表現されています。そして、花弁の繊細な色合いや、小鳥の羽毛のフワリとした質感に至るまで、細部にわたる表現力に驚かされます。これらは、まさに熟練の職人による手仕事の賜物であり、大変な時間と手間がかけられていることが伺えます。
良好な保存状態も評価のポイントです。七宝焼はガラス質の釉薬が施されているため、衝撃に弱く、ひび割れや欠けが生じやすいデリケートな工芸品です。今回のお品物は、経年による擦れは見られるものの、釉薬の剥がれや大きな傷などは見当たらず、大変に丁寧に扱われていたことが分かります。
私ども古美術永澤では、このような貴重な美術品を次世代へと繋ぐお手伝いをさせていただいております。ご自宅に眠る美術品や骨董品がございましたら、ぜひ一度、私どもにご相談ください。一点一点丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価させていただきます。
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