
真鍮製の南京錠
先日、お客様より、大変興味深いお品物をお譲りいただきました。それが、画像の真鍮製の南京錠です。長年の時を経て、深い色合いを湛えた真鍮の輝きは、その歴史を雄弁に物語っています。
お客様がお持ちくださったこの南京錠は、一見するとシンプルなデザインながら、細部にまで職人のこだわりが感じられる逸品です。真鍮特有の重厚感が、手に取った際にずしりと伝わり、その堅牢さを物語ります。表面には、使い込まれたことによる細かな傷や、一部に見られる緑青が、これまでの持ち主の手によって大切にされてきた証拠であり、また長い年月を経てきたことの証でもあります。
特に目を引く点は、その作りの精巧さにあります。現代の大量生産品とは異なり、一つ一つ手作業で仕上げられたであろう温かみが感じられます。施錠・開錠の仕組みも非常にシンプルながら、堅牢性を保つ工夫が随所に見られます。このような古美術品は、単なる道具としての機能を超え、当時の生活様式や職人の技術水準を今に伝える貴重な資料とも言えるでしょう。
真鍮製の南京錠は、明治以降は、洋錠の技術が導入され、より複雑な機構を持つものも現れますが、今回お譲りいただいたような簡素ながらも美しいデザインのものは、その時代の日本の職人たちの美意識と技術が融合した証左と言えます。
お客様は、ご実家の整理をされていた際にこの南京錠を発見されたとのこと。代々受け継がれてきたもので、どなたが、いつ頃から使っていたのかは定かではないとのことでしたが、「昔のものが持つ雰囲気になんとなく惹かれて、捨てるには忍びないと思い、専門の方に見ていただきたくて」と仰っていました。
骨董品は、その道のプロが鑑定することで、お客様ご自身も気づかなかった価値が見出されることが多々ございます。ご自宅に眠るお品物の中に、「これはもしかしたら…」と心当たりがあるものがございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。一点一点、心を込めて丁寧に査定させていただきます。
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