
懸硯 (かけすずり)
先日、弊社の出張買取にて、貴重な懸硯(かけすずり)をお譲りいたただきました。
飴色の木肌に、古色がかった金具が時代を超えた存在感を放っています。一見するとシンプルな小箱に見えますが、その佇まいからは、江戸時代の人々の暮らしと美意識が息づいているようです。
懸硯には硯や墨、筆などを収められる、コンパクトながらも機能性に富んだ造りとなっています。
また、懸硯は、「船箪笥」にも通じる機能性と堅牢さを持ち合わせています。船箪笥とは、商船などで使われた箪笥の総称で、限られた船内で効率よく荷物を収納し、かつ荒波の中でも中身が散らばらないよう、頑丈な造りや様々な工夫が凝らされているのが特徴です。
現代において、古美術品としての懸硯の価値は高まる一方です。その理由はいくつか挙げられます。
まず第一に、希少性です。現存する懸硯の数は決して多くなく、状態の良いものはさらに貴重です。特に、今回のように細部の意匠や内部の構成がしっかりと残っているものは、コレクターからの人気も高い傾向にあります。
懸硯は単なる収納具ではなく、江戸時代の文化や人々の生活様式を伝える貴重な資料でもあります。持ち主の身分や趣味嗜好を反映した意匠が凝らされたものも多く、当時の工芸技術の高さを示すものとしても評価されます。
そして、美術品としての魅力も見逃せません。木の材質、金具の彫金、漆塗りの技法など、職人の高度な技術と美意識が凝縮されています。時代を経るごとに増す古艶(こづや)や、使い込まれることで生まれる風合いは、現代の量産品にはない独特の趣があります。
もしご自宅に、価値が分からない古美術品が眠っていませんか? 古美術永澤では、専門の査定士が一点一点丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価いたします。懸硯をはじめ、様々な古美術品の買取実績がございますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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