
七宝焼の藤図花入
先日、お客様からお譲りいただいたのは、見事な七宝の「藤図花入」です。お客様は長年大切にされてきたお品物でしたが、ご自宅の整理を機に手放すことを決意されたとのこと。
この花入のすらりと伸びた胴部に描かれているのは、日本の初夏を彩る優雅な藤の花。深く落ち着いた紫色の花房は、まるで藤が風に揺れているかのような躍動感を宿しています。周囲には、しなやかに伸びる藤の蔓と、下草の緑が配され、花入全体で一つの雅な風景を織りなしています。
特筆すべきは、七宝の技法です。明治期の七宝は、海外からの技術導入と日本の伝統的な美意識が融合し、飛躍的な発展を遂げた時代です。本作も例に漏れず、透明感のある釉薬が幾重にも重ねられ、奥行きのある色彩表現を可能にしています。特に、藤の花びら一枚一枚に施されたグラデーションや、蔓の有機的な曲線表現は、当時の七宝工芸の粋を集めたものと言えるでしょう。地には淡い色合いが用いられ、藤の鮮やかさを一層引き立てています。
古美術品は、単なる古いモノではありません。それぞれの品に、製作された時代の息吹や、携わった人々の技術、そしてそこに込められた想いが宿っています。
私ども古美術永澤は、お客様が大切にされてきたお品物への想いを尊重し、その真の価値を正しく評価することを第一としております。どのような古美術品でも、専門知識を持つ査定士が一点一点丁寧に拝見し、適正な価格で買取させていただきます。ご自宅に眠るお品物の価値を知りたい方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
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