
矢立 (やたて)
先日、お客様より、大変貴重な矢立(やたて)をお譲りいただきました。
矢立は、筆と墨壺を一体化した携帯用の筆記具として、江戸時代以降に武士や文人、旅人などに広く愛用されました。このたびお預かりした矢立は、特に意匠に優れた美しい逸品です。
まず目を引くのは、なめらかな竹製の筒部分。使い込まれたことで生まれた深い艶が、時代を経た風格を物語っています。竹の節をあえて生かした形状も、自然の美を取り入れた日本の美意識を感じさせます。そして、墨壺には、繊細な植物の彫刻が施されています。
この矢立の価値を高めているのが、根付(ねつけ)と緒締(おじめ)と呼ばれる提げ物です。
根付は、矢立を帯に吊り下げる際に滑り止めの役割を果たすもので、表面には、銀貨が象嵌(ぞうがん)されています。そして、紐に通された小さな玉状の緒締は、滑らかな手触りが心地よさを感じさせます。
矢立の本体と根付・緒締が一体となって初めて完成する、この総合的な美意識こそが、江戸時代の粋な文化を今に伝える貴重な資料と言えるでしょう。
今回、この矢立の査定に際して、評価させていただいたポイントは、希少性、状態の良さ、意匠の3点です。
ご自宅に眠る古美術品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤の無料査定をご利用ください。お客様の大切な品を、一点一点丁寧に拝見し、その価値を正しく見極めます。
お客様の思い出が詰まった品々を、私たちが次の世代へと大切に引き継ぐお手伝いをいたします。ご相談だけでも、お気軽にお問い合わせください。
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