鼈甲靴べら

光沢と深みのある色合いが美しい鼈甲（べっこう）製の靴べらをお譲りいただきました。

この靴べらは、黒や焦げ茶の中に、琥珀色や黄色の斑が溶け合う複雑な模様を帯びています。この独特の斑模様が、ウミガメの一種であるタイマイの甲羅を加工して作られる鼈甲の最大の魅力です。

古くから、その軽さと弾力性、そして何より気品ある艶やかさから、櫛や簪（かんざし）をはじめ、眼鏡のフレーム、そして今回の日用品まで、幅広い工芸品に用いられてきました。特に、こうした滑らかな曲面を持つ靴べらは、熟練の職人が素材の持つ自然な色合いと透明感を最大限に引き出し、丁寧に磨き上げたことが見て取れます。

日本における鼈甲細工の歴史は非常に古く、飛鳥・奈良時代にさかのぼります。特に江戸時代には、長崎を経由して海外の技術が伝わり、日本独自の繊細な細工技術が発展しました。その精緻な美しさは国内外で高く評価され、工芸品としての地位を確立しました。

古美術永澤では、このような歴史的・美術的価値のある鼈甲製品を専門の査定士が丁寧に拝見し、適正な価格で買取させていただいております。ご自宅に眠る鼈甲の品がございましたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

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