
中島千波による「夢殿の枝垂桜」のシルクスクリーンをお譲りいただきました。
中島千波(1945年生まれ)は、昭和から令和にかけて活躍する日本画家で、花を主題とした作品、とくに桜を描いたシリーズで広く知られています。東京藝術大学で学び、卒業後は日本美術院を中心に活動。1989年頃から本格的に桜をテーマにした制作を始めました。以降、毎年のように全国各地の名桜を取材し、実際の樹木を長期間観察して描くという手法を取っています。京都の醍醐寺や奈良の吉野山、長野・高山村のしだれ桜など、実在の名木を題材にした作品群は「千波桜」と呼ばれ、高い評価を得ています。
本作「夢殿の枝垂桜」は、奈良・法隆寺の夢殿に咲く枝垂桜を描いた一作です。中島は1990年代以降、文化財建築と桜の共演を主題にした連作にも力を入れており、本作もその系譜に位置づけられます。桜の樹形や花房の重なりを緻密に観察し、淡い絵具の層で立体的に表現する技法は、日本画の伝統的素材(岩絵具・膠)を活かした中島独自の描法として知られています。
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