
アフリカ・タンザニアのマコンデ族による「生命の樹(Tree of Life)」という木彫像です。一本の堅木から複数の人物像を立体的に彫り出し、人々が互いに支え合いながら積み重なる構成は、共同体の絆や世代のつながりを象徴しています。
マコンデ族は東アフリカを代表する木彫文化を持ち、とくに20世紀半ば以降に発展した「ウジャマ(Ujamaa)様式」は、家族や共同体を意味するモチーフとして知られています。本作もその系譜に属する作品であり、社会全体の結束や生命の循環を表す象徴的造形です。
素材にはアフリカン・ブラックウッド(ムピンゴ)が用いられており、硬質で黒みのある木肌は時を経るごとに深い艶を帯び、芸術的価値を高めています。観光土産的な側面も持ちつつ、アフリカ美術として世界的に評価されるスタイルであり、文化的背景を知るうえで重要な資料的意義を持ちます。
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