
松尾芭蕉の木像
この度、お客様より、素晴らしい木彫作品をお譲りいただきました。俳聖として日本文化に多大な影響を与えた、松尾芭蕉の木像です。
この木像は、芭蕉が旅の途中に瞑想に耽る姿を捉えているようです。険しくも穏やかな表情、そして旅路の厳しさを物語るかのような衣の深い皺まで、彫り師の鋭い眼差しと手仕事の丁寧さが伝わってきます。
細部にまで神経が行き届いた彫刻は、木という素材に魂を吹き込み、見る者に芭蕉の人物像をありありと想起させる力を持っています。
添えられた木箱には「芭蕉」の文字が記されており、この作品の由緒をさらに確かなものにしています。
松尾芭蕉(1644-1694)は、江戸時代前期の俳諧師です。単なる言葉遊びだった俳句を、自然や人生の深い内面を表現する芸術へと昇華させ、「わび・さび」の美意識を確立しました。彼の紀行文『おくのほそ道』は、今なお多くの人々に愛読され、日本の文学史に燦然と輝いています。
芭蕉の人物像は、多くの芸術家を魅了し、絵画や彫刻のモチーフとして数多く描かれてきました。今回お預かりした木像も、そうした芸術的探求の系譜に連なる、価値ある作品と言えるでしょう。
今回のお品物は、歴史的な背景、作者の技術、そして作品そのものの持つオーラが渾然一体となり、深い価値を生み出しています。
古美術永澤の査定士は、一点一点の作品に込められた物語を紐解き、その真価を見出すことを大切にしています。日本の美しい文化を次世代へ引き継ぐお手伝いができれば幸いです。
古美術品には、時代を超えて受け継がれる美と知恵が詰まっています。ご自宅に眠るお品物にも、思わぬ価値が秘められているかもしれません。お気軽にご相談ください。
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