
竹製の伝統的な瓶敷をお譲りいただきました。中央に穴の空いた円形の構造で、全体に放射状の編目が細やかに広がり、近くで見ると畳を思わせるような風合いを持つ、見事な手仕事によるお品です。
本品は、竹を薄く細かく裂いて平たく整形した素材を、扇状に放射しながら段階的に編み込んだ構造を採っています。目地は密に揃っており、1本1本の竹片が角度をつけて組まれていることで、まるで畳のような整然とした面構成を見せています。
素材には良質な竹が用いられており、長い年月を経たことで生まれる自然な色味の濃淡が見られます。部分的に茶褐色や飴色へと変化している箇所は、竹材特有の経年変化によるもので、空気中の酸化、湿度、あるいは湯気や熱による影響が加わった結果と考えられます。こうした自然な変化は、古い竹製茶道具に特有の「味わい」として重視され、美術的価値を高める要因にもなります。
瓶敷は、鉄瓶や湯瓶を直接卓上に置かず、熱から畳や漆器を守るための実用品ですが、その意匠と仕立てに美を求める文化が、中国南部から日本へと伝わってきました。
使用感はあるものの、竹の張りと均整をよく保ったお品でした。
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