
象嵌(ぞうがん)にて装飾が施された棗(なつめ)
先日、お客様より、象嵌(ぞうがん)にて装飾が施された棗(なつめ)をお譲りいただきました。
棗とは、茶道で抹茶を入れるのに用いられる、蓋つきの容器です。一般的に、漆塗りが施されており、丸みを帯びた形状から「棗」と呼ばれます。様々な装飾技法が用いられますが、今回のお品は、象嵌(ぞうがん)の技法で装飾された棗です。
渋い光沢を放つ茶色の塗りが施された棗の側面に、細密な象嵌で草花と昆虫が描かれています。この象嵌は、単なる表面的な装飾に留まらず、立体感と奥行きを感じさせます。
草花は生命力に満ち、昆虫は今にも動き出しそうなほど生き生きとしています。
この作品の最大の魅力は、その写実性です。草花の葉脈や昆虫の触覚、そして足の一本一本までが、非常に細かく表現されています。これは、熟練した職人の高度な技術と、自然を観察する鋭い眼差しがあってこそ成せる技でしょう。
この作品から伝わってくるのは、単なる道具としての美しさだけではありません。そこには、職人の魂が宿っているかのようです。草花や昆虫といった、身近な自然を慈しみ、それを永遠の形として残そうとした作り手の想いが感じられます。
古美術品には、時代を超えて人々を魅了する力があります。一つ一つの作品に込められた物語や技術、そして美意識は、現代を生きる私たちに多くの感動を与えてくれます。もしご自宅に眠っている古美術品がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤の査定をご検討ください。一つ一つの作品に込められた価値を、私たちが丁寧に拝見させていただきます。
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