
中村直人による木彫「蹲る鶴」の香合です。羽をたたみ、地に身を沈めた鶴の姿を端正に彫り出し、繊細な彫刻表現によって羽根の質感や鶴の気品を巧みに表現しています。香合としての機能性とともに、彫刻作品としての存在感を兼ね備えた作品です。
中村直人は、日本の木彫工芸分野で活躍した作家で、自然や動物を題材にした写実的かつ品格ある作風で知られています。特に鶴や亀といった吉祥の象徴を題材とすることが多く、縁起物としても愛好されてきました。木材の質を活かしながら、伝統的な彫刻技法に基づいて仕上げられる作品は、工芸美と精神性を兼ね備えています。
香合は茶道具のひとつで、香を納めるための小さな容器ですが、単なる実用品を超えた造形的価値が重視されます。本作のように動物を題材にした香合は、茶席を飾る意匠としても喜ばれ、観賞性と縁起性を兼ねたものとして評価されます。
関連買取実績
-
2025.09.09
-
2025.09.05
-
2025.09.03
-
2025.09.01