
真藤真山 紫斑銅山水図葛家摘蓋建水です。
紫斑銅の深みある赤紫と黒味が混じる独特の肌に、山水の風景が高肉彫で表された建水です。前景には山肌や樹木、家屋が巧みに刻まれ、奥行きのある景色が器面に広がっています。銅合金の色合いが夕映えや山影を思わせ、落ち着いた趣を漂わせています。
口縁はやや反り気味で、胴が張り出した端正な造形、付属する蓋は葛の実を象った摘みがついており、細工の確かさと遊び心が感じられます。建水としての実用性を備えつつ、装飾性の高い意匠が見どころです。
真藤真山は明治から大正期にかけて活躍した金工家で、紫斑銅を用いた茶道具や飾器に優れた作品を残しました。金工技法の冴えと自然主題の巧みな構成で知られ、特に山水・花鳥の表現に力量を発揮しています。本作もその特色をよく示す一点で、鑑賞性と実用性を兼ね備えたものといえます。
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