
真葛香山 香合
この度、明治から大正期にかけて活躍した京都の名工、真葛香山(まくずこうざん)による香合を買取させていただきました。香合は茶道において香を入れる小さな容器で、茶席の格調を左右する重要な道具の一つです。今回の作品は美しい青磁釉が施された優品で、蓋には繊細な獅子の摘みが配されています。
初代香山(宮川香山、1842-1916)は明治維新後の陶磁器界において革新的な技法を次々と生み出し、国内外で高い評価を獲得しました。彼の作品は従来の日本陶磁器の枠を超え、西洋的な写実表現と東洋的な美意識を巧みに融合させた独特の世界を築き上げています。香山は横浜に工房を構え、輸出用陶磁器の制作を通じて国際的な名声を博し、海外の万国博覧会で絶賛されるなど、日本陶磁器の地位向上に大きく貢献しました。
真葛香山の作品群は大きく二つの時期に分けることができます。明治前期から中期にかけては「真葛焼」と呼ばれる極めて写実的で装飾性豊かな作品を制作し、花鳥や人物を立体的に表現した花瓶や香炉などが代表的です。一方、明治後期から大正期にかけては作風が一変し、中国古陶磁に範を取った格調高い釉薬の美を追求するようになりました。
このような歴史的背景を持つ真葛香山の作品において、査定のポイントは多岐にわたります。まず作品の真贋判定が最も重要です。明治後期以降の作品では釉薬の質や発色が重要な判断材料となります。また、保存状態も査定額を左右する要素です。また共箱や極書きの有無、来歴の明確さなども重要です。
真葛香山の作品は現在でも国内外のコレクターから高い人気を誇り、美術館での展示機会も多く、その芸術性と歴史的価値は今後も評価され続けることでしょう。古美術永澤では豊富な知識と経験を持つ査定士が、お客様の大切なお品物を丁寧に査定させていただいております。
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