
地龍造作の八角笹文 燗鍋
この度、お客様より、地龍造による八角笹文様の燗鍋を買取させていただきました。黒々とした鉄肌に陶器の蓋が印象的な、格調高い酒器です。
地龍造とは、鉄瓶や茶道具に見られる銘の一つで、伝統的な鋳造作品で知られています。本作品は八角形という独特なフォルムを持ち、手に馴染む形状と装飾性が融合した逸品です。
蓋には青花で笹文様が描かれ、黒い鉄肌との対比が見事な意匠となっています。この笹文様は、清廉さや生命力を象徴する吉祥文として、古くから日本の工芸品に用いられてきました。
燗鍋は、日本酒を温めるための道具として古くから用いられ、茶懐石や料亭文化の中で発展してきました。鉄製の燗鍋は直火にかけられ、熱の伝わり方が柔らかいため、酒の風味を損なわずに適温に温めることができます。江戸時代より酒席で用いられ、数寄者にも親しまれてきました。現代においても、日本酒の温度管理にこだわる愛好家や料理人から高く評価されています。
鉄製燗鍋の査定では、作家銘や工房の確認が重要です。共箱の有無や箱書きの内容も、作品の来歴を示す大切な要素となります。また、鉄肌の経年変化は価値を高める一方、過度な錆や損傷は評価に影響します。蓋の陶器部分の欠けや注ぎ口、本体の歪みなども確認いたします。
古美術永澤では、茶道具や酒器といった伝統工芸品の取り扱い実績が豊富な査定士が、一点一点丁寧に拝見いたします。大切にされてきたお品物を、次の世代へと繋ぐお手伝いをさせていただければ幸いです。
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