
高橋誠による染付山雀(やまがら)図 八角香合
先日、お客様より、高橋誠の「染付山雀(やまがら)図 八角香合」を買取させていただきました。
高橋誠(1948-2013)は、東京藝術大学陶芸科へ進み、田村耕一と出会い、陶芸を学びました。独自の感性で現代的な作品を生み出しています。花鳥を描いた色絵付や染付を得意とし、その緻密な描写は見る者を魅了し、作品に奥行きと品格を与えています。
今回お預かりした八角香合は、端正な八角形をなす形状がまず目を引きます。八角形は古くから縁起の良い形とされ、末広がりの象徴でもあります。その蓋には、愛らしい山雀(やまがら)の姿が生き生きと描かれています。染付の濃淡を巧みに使い分け、まるで水墨画のような深みのある表現がなされています。羽毛の柔らかさや、今にも飛び立ちそうな躍動感が伝わってきます。そして、香合の底裏には「誠」の銘が記されています。
香合は、お茶席で香を焚く際に用いられる、茶道具の一つです。茶道の世界では、道具一つ一つに物語があり、季節やテーマに合わせて選ばれます。香合も例外ではなく、その意匠は亭主の趣向を表す大切な要素です。今回の「山雀図」は、小鳥が囀るのどかな情景を思わせ、自然の息吹を感じさせます。
高橋誠の作品は、その精緻な絵付けと洗練された造形から、茶道具愛好家の間で人気です。彼の作品は、美術品としての価値だけでなく、実際に茶席で使われることで、その魅力がさらに引き出されます。使うほどに手になじみ、愛着が湧く。まさに、用の美を体現した作品と言えます。
この度は、日本の伝統と現代の感性が融合した素晴らしい作品に触れることができました。もしご自宅に眠っている茶道具や陶磁器がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。一点一点、丁寧に拝見し、その価値を最大限に評価させていただきます。
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