鈴谷鐡五郎 蒔絵 螺鈿 棗

輪島塗蒔絵師として制作活動を続ける鈴谷鐡五郎による美しい蒔絵螺鈿棗（まきえ らでん なつめ）をお譲りいただきました。艶やかな黒漆の表面に、鮮やかな赤椿が描かれた、まさに眼福の一品です。

棗 (なつめ)は、抹茶を入れるための茶道具の一つで、茶席の中心を飾る道具として、古来より様々な意匠が凝らされてきました。特に、漆で文様を描く「蒔絵」や、貝殻を薄く削って嵌め込む「螺鈿 (らでん)」といった技法が用いられた棗は、日本の漆芸の粋を集めた美術品として評価されています。

今回の棗は、伝統的な蒔絵と螺鈿の技術が見事に融合しています。黒漆を背景に、生命力に満ちた椿の花と葉は、金を主体とした蒔絵で丁寧に描かれ、花の中心部分には、玉虫色に輝く螺鈿が施されており、見る角度によって繊細な光を放ちます。この輝きが、黒と赤のコントラストに奥行きを与え、棗全体に格調高い美しさを加えています。

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