
中山胡民(なかやま こみん)による棗
この度、幕末から明治初期にかけて活躍した名蒔絵師、中山胡民(なかやま こみん、1808-1870年)による棗をお譲りいただきました。精緻な蒔絵が施されたその姿は、江戸蒔絵の技術の粋を現代に伝える貴重な逸品です。
中山胡民は、武蔵国葛飾郡寺島村(現在の東京都墨田区)で生まれ、当時の江戸で随一の蒔絵師と称された原羊遊斎(はらようゆうさい)に師事し、高度な技術を習得。特に印籠蒔絵で名を馳せ、「法橋(ほっきょう)」の称号を授けられるほどの高い評価を得ていました。印籠の他にも、櫛、硯箱、そして茶道具など幅広い作品を手がけ、その精巧で緻密な蒔絵表現は、当時の江戸蒔絵界を牽引する存在でした。
この棗に見られる繊細な金蒔絵は、胡民の卓越した技術と、雅な世界観を体現しています。江戸時代後期は、それ以前から流行していた光琳風蒔絵の発達に加え、柴田是真といった個性豊かな作家の登場も相まって、蒔絵表現が多様化・成熟した時期であり、胡民はその華やかな時代の一翼を担った作家です。
古美術永澤では、中山胡民をはじめとする江戸時代の名蒔絵師による茶道具や漆芸品を、専門の査定士がしっかりと拝見し、適正な価格で査定・買取させていただきます。買取を検討されている古美術品がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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