蒔絵香合

優美な螺鈿（らでん）細工が施された漆黒の蒔絵香合をお譲りいただきました。こちらのお品は、円形の蓋物に、螺鈿の技法を用いて観音菩薩が描かれた大変魅力的な香合です。

螺鈿とは、アワビや夜光貝などの貝殻の真珠層を薄く削り漆器の表面に埋め込む、あるいは貼り付けて装飾する技法です。この真珠層が光を受けて虹色に輝く様は、漆黒の地によく映え、格調高い美しさを放っています。

ゆったりと座し、流れるような衣の表現や、淡い色彩で彩色されたお顔や手元が、神秘的で穏やかな雰囲気を醸し出しています。こうした観音菩薩を描いた香合は、信仰の対象として、あるいは文人趣味の席で静寂を味わうための道具として愛されてきました。

香合は、茶道において、香を納めるための小さな器として重要な役割を果たします。特に、このような蒔絵や螺鈿の香合は、格式ある茶会を彩る道具として、また漆芸の粋を集めた美術工芸品として高い評価を受けてきました。

古美術永澤では、伝統的な漆芸品、茶道具として用いられる香合や棗（なつめ）などのお品の査定・買取を承っております。買取をお考えの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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