
唐草文の木製香炉(瑪瑙の玉石の猿の意匠が摘みに配されています)
唐草文の透かし彫りを施した木製の香炉をお譲り頂きました。胴には銀の象嵌で文様が描かれ、摘みには瑪瑙の玉石で猿の意匠が配されています。古風な趣の中に典雅な細工が光る文人香炉です。
文人にとって香炉は単なる道具ではなく教養と品格の象徴と考えられてきました。香炉に用いられる意匠や装飾は文人文化の美意識を反映したものとなっています。
日本で「唐草」と呼ばれる名称は、中国唐代文化への憧憬から生まれたものですが、その原型は古代メソポタミア・エジプト、ギリシア、ローマ 、中央アジアという道筋で発展した「蔓草装飾」にあります。シルクロード交易、仏教美術の伝播により中国にもたらされ発展しました。曲線が豊かで量感がある文様は連続性・循環性・生命力を象徴するものです。
瑪瑙の猿は愛らしさの中に吉祥の意味を宿しています。猿の意匠は、古くから縁起が良い象徴として親しまれてきました。また、この猿は顔を覆っているように見え、三猿のうちの「見ざる」を彷彿とさせます。「見ず」に、香を「聞く」とすると洒落が利いた意匠といえます。
この香炉は意匠と木の質感が調和しており、工芸性と精神性を兼ね備えています。空間に静かな品格と温かな気配をもたらす一作といえるでしょう。
古美術永澤は、文化史的価値を持つ作品や希少な古美術品を丁寧に査定し、適正な価格で買取いたしております。中国美術、東洋美術など、特別なお品物のご売却をお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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