
アンティーク懐中時計
この度は、お客様より貴重なアンティークの懐中時計をお譲りいただきました。
目を引くのは、その優雅なデザインです。ベゼル(ガラスを固定する枠)に施されたネイビーブルーのエナメル装飾と、繊細な金彩の文様が、時計全体の気品を高めています。アール・ヌーヴォー様式が流行する以前の、クラシックな美意識が感じられる逸品です。
文字盤は磁器製で、ローマ数字のインデックスが読み取りやすく、控えめながらも確かな存在感を放っています。スモールセコンド(独立した小さな文字盤)も特徴的で、当時の精密な時計製造技術を物語っています。
さらに、この時計の価値を際立たせているのが、リュウズ(時刻合わせやゼンマイ巻きに使用する突起)部分のデザインです。画像では詳細が分かりにくいですが、精巧な彫刻が施されており、所有者のこだわりが感じられます。
また、画像右側に写っている鍵も、当時の懐中時計には不可欠なものでした。現代の懐中時計はほとんどがリュウズ巻きですが、この時代は専用の鍵でゼンマイを巻き上げ、時刻を合わせるのが一般的でした。この鍵が時計本体と共に残されていることは、コレクターにとっても大変魅力的なポイントとなります。鍵のデザインもまた、本体と調和するような意匠が凝らされており、単なる道具以上の価値を持っています。
19世紀中頃は、時計製造技術が飛躍的に発展した時代です。特にスイスやフランスでは、小型化と高精度化が進み、懐中時計は富裕層のステータスシンボルとして、また実用的な道具として広く普及しました。このようなギルトエナメル装飾の時計は、当時の最高峰の職人技と芸術性が融合したものであり、現在では美術品としての価値も高く評価されています。
今回お譲りいただいた懐中時計は、単に時を刻む道具としてだけでなく、当時の文化や技術、そして美意識を今に伝える貴重な歴史的資料とも言えます。大切に次の方へと橋渡しさせていただきます。
古美術永澤では、このような歴史的価値のあるアンティーク時計を買取しております。ご自宅に眠っている古い時計や、価値が分からず処分に困っているお品物がございましたら、ぜひ一度、古美術永澤にご相談ください。専門知識を持った査定士が、一つ一つ丁寧に査定し、適正な価格をご提示させていただきます。
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