
鳥かご仕立ての愛らしいゼンマイ式置時計です。戦後の日本で海外向けに盛んに作られたからくり時計に連なる一品で、卓上サイズながら造形と機構の妙味が凝縮されています。
見どころは、中央の球体に巻かれた帯状スケールがゆっくり回転して時刻を示す「アニュラー(環状)文字盤」方式です。小鳥は支柱と意匠を兼ね、数字の帯が鳥の周りを巡る”うに見える視覚効果が楽しい設計になっています。一般的な針式と異なり、駆動輪列で大きく減速して帯を等速回転させるため、微細なトルクでも表示が安定し、眺めていて飽きがきません。
下部の丸い台座にゼンマイと輪列が収まり、上面のケージ部は真鍮系の線材・プレス部品で軽やかに組まれています。小鳥本体は木またはセルロイドに手彩色の例が多く、経年の温かい風合いも魅力です。輸出品らしく造形の楽しさを前面に出しつつ、メカは簡潔で扱いやすい――この遊び心と実用性の共存こそ、日本製からくり時計の持ち味と言えるでしょう。
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