
パテック-フィリップ(PATEK-PHILIPPE)のソーラー・ドーム・クロック (1)
パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)のソーラー・ドーム・クロックです。頭頂部のドームにあるソーラーパネルで光を受け、その電力でモーターを動かして、ムーブメントのゼンマイを巻き上げるという、パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)独自の画期的な仕組みの時計です。電池式(クォーツ)ではなく、中身はあくまでパテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)の伝統的な機械式時計であるところが特徴です。
円筒状のケースにはクロワゾネ七宝(※日本では有線七宝に相当)という技法が使われており、金色の線で輪郭を描いてから、その中にガラス質の釉薬を流し込んで焼き上げるという、非常に高度で手間のかかる伝統工芸技法です。
モチーフは外周に羊飼いと貴婦人、リュートを弾く吟遊詩人、男女のロマンス、天井には子羊を抱いた女性が描かれています。これは西洋美術における伝統的な理想郷(アルカディア)、牧歌的な田園風景を象徴するものです。中世からルネサンス期のヨーロッパ貴族たちは、こうした羊飼いの牧歌的な生活を、「現実の労働や政治の苦しみから切り離され、愛と音楽と自然だけが存在する永遠の楽園」として理想とし、憧れ、芸術の題材として好みました。
また、描かれている男女の服装は質素な農民ではなく、中世貴族の装いです。これは、18世紀後半のフランス宮廷で流行した、貴族がわざと羊飼いの格好をして遊ぶパストラル趣味(田園趣味)という文化的流行に基づいています。閉塞的な宮廷生活に飽きた貴族たちが理想化された田園生活を模倣して楽しむというもので、有名なマリーアントワネットも好んでいた遊びなのです。
あらゆる貴族たちに高級な時計を供給してきたトップブランド パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)のドーム・クロックとしての希少性もさることながら、現実逃避で遊ぶ貴族たちの無邪気さを高度な技術で描いた、非常に趣深いお品です。
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