
ピアース(pierce) 軍用クロノグラフ
ピアース(pierce) のクロノグラフです。1940年代のお品で、軍用ステンレススチール製のバックケースとベゼルを備えています。
ピアース(pierce)は1883年にスイスでレヴィ兄弟により創業されました。
本品は一見すると珍しい「縦目」のデザインです。普通のクロノグラフは、小さい円(インダイヤル)が3時と9時の横位置にあります。しかし、この時計は12時と6時で縦並びに配置されています。これには理由がありました。
1930年代半ば、創業者の1人レオン・レヴィは、自社ムーブメント 「キャリバー130」と、クロノグラフ作動のための垂直クラッチ(バーティカル・クラッチ)を開発しました。この巧妙な構造は、クロノグラフの2つのインダイヤル(サブダイヤル)を 12時・6時位置にせざるを得ず、かなり独特な文字盤レイアウトとなりました。これらを搭載した時計を1936年に発売したところ、大成功を収めました。これがピアース(pierce)独特の代表的デザインとして「縦目のピアース(pierce)」と呼ばれることになりました。
第二次世界大戦中、イギリス政府は大量のピアース(pierce) のクロノグラフを発注しました。特に本品のようなデザインはイギリス軍の医療部隊で広く使われました。救護活動中の軍医はテレメーター(音の距離測定)とタキメーター(速度測定)で砲撃までの距離や味方の位置関係を素早く把握する必要があったので、本品のような視認性の高い文字盤デザインが重宝されたのです。また、モノプッシャー(1ボタン式)は手袋をした軍医でも操作しやすく、夜光アラビア数字は夜間も見やすいものでした。数字のインデックスと針に、わずかにラジウム塗料の跡が残っています。
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