
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五拾三次之内 土山 阿漕平次(つちやま あこぎへいじ)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合は土山宿)が配されており、四代目 市川小團次が演じる「阿漕平次」を演じている様子が描かれています。
阿漕平次は歌舞伎演目「勢州阿漕浦(せいしゅうあこぎがうら)」に登場する人物です。
もともとは三重県津市の伝承で、源平盛衰記の和歌を基に室町時代の能楽の謡曲「阿漕」となり、江戸時代になると浄瑠璃や歌舞伎など芝居へと変化していきました。
阿漕平次は病気の母のために禁漁区であった阿漕ヶ浦(現在の三重県津市付近)で密漁を行い、掟を破ったために捕らえられ、簀巻きにされて海に沈められたとされています。(作品や伝承によって描写に細かな違いはありますが基本的伝承は死罪で終わります)
阿漕浦は、伊勢神宮に献上する魚を守るため、夜の漁(密漁)が固く禁じられた聖域、破れば死罪に等しい重罪をかされます。
動機はあくまで親孝行、しかし行為は絶対的な禁忌という悲劇的な展開が観るものを葛藤させる作品です。
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