
三代 歌川豊国(歌川国貞)による浮世絵「東海道五十三次の内 清見 白藤(きよみ しらふじ)」です。
「役者見立東海道」と呼ばれるシリーズ作品の一つで、手前に役者絵、背景に演目や登場人物に関係する宿場の風景(この場合はきよみ)が配されており、歌舞伎役者の八代目 市川団十郎が「白藤」に扮している様子が描かれています。
八代目 市川団十郎は、幕末の江戸歌舞伎界で絶大な人気を誇った美男役者です。
代々、団十郎は豪快な「荒事」を得意とする力強い役者像で知られていましたが、八代目は面長で上品な美男子でした。その甘いマスクと演技で特に女性ファンを熱狂させ、現代でいうアイドルのような存在でした。
その伝説はすごく、演目「助六」の舞台上で八代目が身を沈めた桶の水を美顔水として1瓶1分(現在の価格で3000円ほど)で販売すると飛ぶように売れ、中には八代目の痰を「団十郎の御痰守」として販売する者までいたといわれるほどです。
しかし、彼は人気絶頂のさなか、32歳で自ら命を絶ちました。あまりにも突然であり、江戸の人々は悲しみに暮れ、死絵が何百も発売されました。死の理由も様々憶測されましたが、本人が何も語らずに亡くなったため、その死はいまだに謎に包まれています。
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