
初代 歌川広重による浮世絵「名所江戸百景 四ツ木通用水引ふね(よつぎどおり ようすいひきふね)」です。
「名所江戸百景」は、歌川広重の人生の集大成ともいえる作品で、118図と弟子による作品も含めた全120図で構成されています。この作品は、春夏秋冬の季節に分けられ、当時有名だった江戸や近郊の名所や景観の優れた場所などの風景に、行事や人々の暮らしを重ねて、広重ならではの描写となっています。
画面には、船頭が櫓(ろ)を漕ぐのではなく、岸から人が綱で「サッパコ」と呼ばれる舟底が浅く平らな小舟を引いて客を運ぶ「引舟(ひきふね)」の様子が描かれています。この地域は水深が浅く、水路の幅も狭かったため、このような運搬法がとられていました。単なる交通手段ではなく、旅先へ向かう際の娯楽の一つでもあったようです。この引舟(曳舟)の風景から、この用水路は「曳舟川(ひきふねがわ)」と呼ばれるようになりました。
田園地帯を彩度低く表現し、水の藍色のグラデーションと四ツ木通りの黄色、それを縁取る緑が美しい曲線を描いて浮かび上がり、かすみの赤や空の濃紺ともコントラストをうんでいます。
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