
月岡芳年(1839-92)による浮世絵「月百姿 左側: 孤家月(ひとつやのつき)/右側: 南海月(なんかいのつき)」です。
「月百姿(つきのひゃくし)」は月をテーマとした全100点揃の大判錦絵で、のべ8年を掛けて完結し、月岡芳年(つきおかよしとし)の最後の大作・代表作の一つと評価されています。
「孤家月」は、浅草浅茅が原の一ツ屋の伝説「一ツ家の婆」が描かれています。旅人を泊め、寝静まったところに石を落として殺し金品を奪う鬼婆。そして1,000人目となる旅の稚児をいつも通り殺害するが それは稚児に変装した自分の娘であった、という伝説です。火で部屋の中を照らして旅人が寝たかどうかを確かめに来た場面を描いています。
「南海月」は、南インドの補陀落(ふだらく)という観音菩薩の浄土から、海に映る月を静かに眺めている場面を描いています。観音の背後に浄瓶と楊柳が描かれていることから「水月観音」だと思われます。空の月の一部は雲で隠れ、海に写る月を見ているにも関わらず波はあれている、観音の後光がむしろこのシリーズのテーマでもある「月」のように感じる不思議な作品です。
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